香川県地域おこし協力隊コーディネーターの秋吉です。
「私たちの本気宣言」は香川県内の地域おこし協力隊及び地域おこし協力隊に関わる人たちの本気をお伝えする企画です。
今回は淵崎さんが活躍する高松市塩江町のコミュニティセンターのセンター長・熊野さんとコミュニティ協議会の会長・小笠原さんにお話をうかがいました。
↓小笠原会長(左)、熊野センター長(右)
秋吉
本日は貴重なお時間ありがとうございます。
普段どのように淵崎さんと関わっていらっしゃるのか教えてください。
まずは熊野さんからお願いします。
熊野
そうですね。
地域おこし協力隊はコミュニティの職員でもないし、ただの支所の職員とも違う。
最初は宙ぶらりんな立場だったんです。
当初は彼の席を1階の支所に置くか、2階のコミュニティセンターに置くかで悩んだんですが、塩江支所も人数が減っているし、その中にポツンと1人座らせるのもどうかなぁと思って、2階のコミュニティのスペースに席を設けることにしたんです。
ここなら連合自治会やコミュニティ協議会の情報も入ってくるし、彼にとっても良い環境だと思ったんです。
今では同じ事務所で色んな人を紹介したり、活動を手伝ったり、色々と応援しています。
秋吉
淵崎さんから「私をお母さんだと思って、何でも相談しなさいね」と熊野さんから言われたと聞きました。
どんなお気持ちでおっしゃったことなんですか。
熊野
年齢的にもうちの娘と同年代やし、そう言った方が彼も何となく気さくに話してくれるかなぁと。
プライベートも含めて相談相手になりたいと思ったんよ。
外から全然知らない所に入って来てる彼の気持ちを思たらね。
やっぱり早く馴染んでほしいという気持ちやね。
地域で協力隊を育てていかないかんと思ってる。
彼は身体はもの凄い大きく育ってるけどね。笑
地域ぐるみで面倒見んといかん。
地域で手助けしてお互いに気持ちを1つにする必要があると感じたもんだから、2階に来てもらった所もあるんよ。
まぁこっちの方が楽しいやろ。笑
結果的にもこっちで良かったと思ってる。
地域に馴染みやすいし、色んな人を紹介できるしね。
秋吉
地域のみなさんが積極的に関わってくださる環境は協力隊にとっても本当に心強いです。
小笠原さんは普段どのように淵崎さんと関わっていらっしゃるんですか。
小笠原
あの人は元気やけんな。
ちょいちょいくたびれていることはあるけど、ようけ働くけん、会う度に励ましたり、アドバイスしたり、色んな話をするよ。
地域の中にも色んなグループがあるんだけど、そういうグループと上手くつき合って色々と教えてもらわんとこの地域では上手くやっていけん。
高松と塩江では気候から何からみんな違うけんね。
そういう地域の人とのつながりなんかをアドバイスしたりしとるかな。
さっきセンター長も言うてたけど、協力隊を育てるというか一緒になって、地域の悩みを解決して行きたいと思うとるよ。
地域の人だけじゃ難しいんよ。
支所の人間も減ってしまったからの。
秋吉
協力隊といっしょに地域も成長する。とっても素晴らしい考え方だと思います。
淵崎さんが塩江に来てから一年が経ちました。
淵崎さんに変化はありましたか。
熊野
成長しとるよ。
5月のフェスティバル、あれを見ていただいたら分かると思います。
みんな一丸となってね。
彼は最初から泣いてたけどね。笑
あれは、一年間の集大成というか、1つの区切りにはなっています。
地元の人にとけ込んで、一緒になってやったという達成感が味わえたと思うんですよ。あれは。
なんとて彼は人が良いからね。ノーと言えないんですよ。
地域の人からお願いされると何でも引き受けちゃう。
優し過ぎやで。
でも今は気持ちが強くなった。
色々あったからね。
人間はその度に成長するんや。苦労してなかったら人間はダメやね。
小笠原
自分の言いたい事をパッと言えるようにならなアカン。
周りの事ばっかり考えてたらおかしくなるけん。
自分がこうと思った時にパッと。
それが出来てきたんちゃうかな。
秋吉
確かに、スプリングフェスタはすごかったですからね。
地域の方はどうでしょうか。
淵崎さんが来て何か変化はありましたか。
熊野
「なんかしたい」「これしたい」というのは出てくるようになったね。
地域の話し合いの場でも協力隊の話が出てくるようになって、「彼ならやってくれるんちゃうか」という期待感を持つようになったね。
小笠原
今までに無いような事業してくれているからな。
ヒマワリなんて今までしたことないやろ。
熊野
若いし、情報もたくさん持ってるからね。
色んな人に期待されて、引っ張りだこになってた。
それが大変な所もあるんやけど、やっぱり地域の人からの期待の大きさが現れとるわな。
秋吉
去年の一年間は本当に大変そうでしたね。色々とあって。
でも「塩江が好きだから乗り越えられた」と淵崎さんは話されてました。
どうして淵崎さんはそこまで塩江の事が好きになれたんでしょうか。
小笠原
「自然とものとの戦い」があるからやと思う。
塩江の豊かな自然を活かして色んな事をつくり出すことに魅力があるんちゃうかな。
自然の土地を活かして何かを作ったり、色々取り組める所やからな。
熊野
農業にしたって、彼は初めて取り組んでいるけれど、いろんな地域の方に協力してもらって、ようやく収穫まで体験できた。
そういう収穫の喜びみたいなんも感じ取るんちゃうかな。
小笠原
彼の一年間の動きを写真かなんかでまとめたら、自然の中で取り組んでいることが多いから、きっと素晴らしいものができると思うで。
四季の移り変わりが激しいからな塩江は。どこにもない綺麗さやと思うよ。
秋吉
ヒマワリやそばなど、自然を活かした取り組みが多いですからね。
地域性に合っているということは素晴らしいです。
地域の方々は淵崎さんのことをどのように見ているんでしょうか。
小笠原
あの人を見て、「私も頑張らないかん」と思う人がようけいると思うわ。
熊野
一生懸命してる背中が見えるけんね。
そういう人には協力したいと思えるちゃうかな。
小笠原
早い話が、安い月給なのによう働くなぁって。笑
分かってる人はちゃんと分かってるからな。
熊野
協力隊新聞でちゃんと伝えてるからね。
あれは結構見てる人がいてね。
「いろんな所、顔出してるね」と色んな人から言われる。
そういう彼の努力がやっぱり今の地域の人たちとの絆につながっとんちゃうかな。
秋吉
淵崎さんの真っ直ぐな姿が地域の方を少しずつ前向きにしているということなんでしょうね。
最後に淵崎さんにこれから期待することを教えてください。
小笠原
やればできるということを示してもらいたいな
じっとしているんではなく、することはする。
若いもん同士で色々と話をしてもらって、やることはちゃんとやる。
酒飲む時は飲んでええし、楽しむ時は楽しんでええけど、しっかりとけじめをつけてな。
しっかりとした取り組みにしてほしいと思とる。
後で後悔の残らない仕事をしてほしい。
あまり大きな事は期待してない。
それなりにこの土地にしっかりと馴染むようなことをきちんとやってくれたらそれで良い。
あんまり大きな事して忙しくなっても困るからな。笑
熊野
無理はしてほしくないんや。
自然体で自分のできることをやってほしい。
居心地の良い場所で、少しは生活費を稼ぎながら、地域と上手くやっていってほしい。
地域の人一緒に仲良く知恵を出し合って、生き甲斐のあるまちを作っていってもらったらいいなと。
今はそれができてきてますから。
応援する人も出てきているし、一生懸命やっていたら目標は自ずと見つかってくると思うんや。
私も母から「10年間1つの事をやり抜いたら、いつかは身になる」と言われて育ってきた。
辛抱はせんといかんけど、みんなと相談しながらね、1人で突っ走るんではなくてね、助け合いながら頑張れば自ずと道が開かれると思う。
今できていることをこれからも続けてほしいです。
秋吉
本日は貴重なお時間ありがとうございました。
今後とも宜しくお願いします。
真っ直ぐな淵崎さんを影で支える熊野センター長と小笠原会長。
温かくもしっかりと芯のあるお言葉1つ1つがとても印象的でした。
地域の方々が協力隊を通じて変わっていく様子も感じながら、これからも協力隊と一緒に地域づくりに取り組んでいきたいという姿勢に本気を感じました。