【インタビュー記事】日々の仕事が地域活性化に繋がる

小豆島町長棟隊員【任期3年目】

今回は、令和7年3月に任期満了を迎える小豆島町の地域おこし協力隊、長棟快さんにインタビューし、地域おこし協力隊になったきっかけや活動内容、卒隊後の予定などについてお話を伺いました。

―本日はよろしくお願いします。まず、協力隊になる前はどのようなことをされていたんでしょうか?

出身は伊豆大島で、その後山口県、島根県で子供時代を過ごし、高校卒業と同時に韓国へ留学しました。大学卒業後は韓国で12年間映像関係の仕事をしていました。帰国後は大阪で2年ほどフリーで引き続き映像関係の仕事をしていました。

―そのような経緯からなぜ地方移住しようと思われたのでしょうか?

もともと田舎育ちということもありますし、留学時の夏休みに帰国した際、長野県の農家で2か月間アルバイトをしていたという経験から、「農業がしたい」と思い、移住を考えました。

―地方移住する上で小豆島町の地域おこし協力隊に応募した経緯を教えてください。

農業をやるとなると、その土地に根差してやっていく必要があります。その場所が、一生自分が住める土地なのか?ということがとても大事だと思っていて。
そのため、妻と一緒に日本全国いろんな場所に行って移住先を探しました。その中で小豆島に来て、小豆島の良さに触れ「ここならいけるかもしれない」と考えました。
ただ、初めての土地でいきなり農業始めるというのは大変なので、まずは地域おこし協力隊として地域に入り、地域に馴染んで地域課題を解決しつつ、いろんな人と繋がってから就農しようと思い、地域おこし協力隊に応募しました。

―小豆島への移住を考えた際は地域おこし協力隊の募集があったのでしょうか?

いいえ。ただ、私が小豆島を訪れたのが1月で、協力隊の募集が2月末頃に募集が開始になったのですごくタイミングが良かったです。そういうご縁を感じたことも大きかったです。

―では、実際の活動内容を教えてください。

小豆島町には日本の棚田百選にも選ばれた中山千枚田という棚田があるのですが、この棚田を約1ha、棚田の枚数でいうと約90枚を、年間を通して管理しています。
それ以外にも大学生や地元の小学生たちに向けた耕作指導や体験学習だったり、地元の伝統行事やイベントのお手伝い、棚田の視察が来た場合はガイドをしたりしています。

―時期によって忙しさに違いはありますか?

田植えの時期が一番忙しいです。稲刈りの時期も忙しいのですが、稲刈りは、刈ったら終わりです。一方で、田植えはたくさんの行程があるのでその分作業量が多くなります。あと、夏場も大変でした。外での作業なので熱中症にならないように1日5Lくらい水分をとっていました。

―活動していて嬉しかった出来事や言葉はありますか?

自分が頑張っていると、地元の方が声をかけてくれたり、助けてくれたりすることですね。大変な作業をしている中で、「一緒だから頑張れる」とか「負けてられんわ」と言っていただいたりとか。
そういうふれあいがすごく嬉しかったです。僕より倍以上の年齢の方々が田んぼで僕と同じようなことをしているので本当にすごいと思います。

―協力隊になる前の活動イメージとのギャップはありましたか?

協力隊になる前は、協力隊って、役場にいて地域活性化のためのイベントを企画したりマルシェを開いたり、私自身映像制作の仕事をしていたのでPR動画を作ったりとかそういう仕事が多いと思っていました。
実際は、ほとんど一日中棚田にいて、日中誰とも喋らないということもあったので、違和感というか「これでいいのかな」という思いはありました。
それでもいろんな人に声をかけてもらったり認めてもらえたりして、みんなと一緒に頑張っているんだという思いができたことで、自分の仕事が地域活性化や小豆島の観光資源を守ることに繋がっているのだと感じ、自分の仕事に自信がもてるようになりました。

―長棟さんが考える小豆島町のいいところはどんなところですか?

ありきたりかもしれませんが、海や山があるところですかね。私は海に近いところに住んでいて、夕方とかに子供を海岸に連れて行ってあげたりして砂遊びをさせているので、子供にとっては海岸が砂場になっています(笑)。そういう環境は子供にとってもいい環境だと思いますし、子供が遊んでいる姿を見ながら夕日が沈んでいく景色を見るといいなぁと思います。自然がありながらも暮らす上で不便すぎないところがいいですね。
年間通してイベントが多いこともいいところだと思います。お祭りだけでなく、マルシェがあったり講演会があったり移住者が企画したライブだったり。
あと小豆島は移住者が多く、移住者に対する拒否感も少ないですし、逆に暖かい雰囲気があるので、移住しやすい環境でもあるのかなと思います。

―協力隊として活動する中で成長したと感じることはありますか?

自分でお米を育てるというのは、すごく大きいスキルだと思うので、それを習得できたことは自分の中では大きかったです。
あとは地域に関わっていくことの重要性を学びました。都会だと地域との関係が希薄になりがちですが、田舎では地域で一緒に暮らしていくという感覚なので。だから地域の活動や消防団だったり、そういったところに少しでも関わっていくことで助け合うことの重要性を学んだことも大きかったです。

―任期後の予定を教えてください。

当初は新規就農を検討していましたが、いろいろ話をさせていただく中で島内のオリーブ農家さんを紹介していただき、そのオリーブ農家さんに就業することになりました。もともとオリーブ農家と決めていたわけではないですが、せっかく小豆島にきたのでオリーブもいいかなと考えました。

―最後に、地域おこし協力隊を検討している方にアドバイスや協力隊を探す際のポイントはあるでしょうか?

活動内容や条件のすり合わせはしっかりとした方がいいと思います。自分がやりたいことがあったとしても、行政の考えや地元のニーズと違ったりする場合があるので。そうなると地域おこし協力隊になったあと、いろいろなトラブルのもとになってしまします。そうならないために、自分がやりたいことと地域が求めていること、行政がしてもらいたいことをしっかりと話して納得の上で応募するのが言いかなと思います。
協力隊の仕事をする上では、頑張って精一杯やっていれば、それを見てくれている地元の方は必ずいるということを伝えたいです。辛い時や大変な時でもそういう方々がいるということを忘れなければ頑張っていけるかなと思います。



長棟隊員の活動場所である中山千枚田。写真手前部分が長棟隊員の管理する棚田。棚田の上の方は角度も急で一段ごとの幅も狭いので実際に立ってみると少し怖さを感じます。

 

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