【インタビュー記事】キウイ愛がつなぐ地域との協力の輪

今回は、令和7年3月に任期満了を迎えた善通寺市の地域おこし協力隊、福岡歩美さんにインタビューし、地域おこし協力隊になったきっかけや活動内容、卒隊後の活動などについてお話を伺いました。

本日はよろしくお願いします。まず、協力隊になる前はどのようなことをされていたのでしょうか?
大学卒業後、成田空港でグランドスタッフとして5年間勤務したのち、タウン情報誌で2年ほど勤務しました。

―そのような経歴からなぜ地域おこし協力隊になろうと思ったのでしょうか?
徳島市出身で、いずれは、四国に帰りたいなと思っていました。また成田空港で働いて海外のお客様と日々接する中で日本の良さを実感したことで、自分が生まれ育ったローカルに関わる仕事がしたいと考えていました。
そんな時に、善通寺市で観光振興の地域おこし協力隊を募集していて、航空会社で働いた経験を活かせると思い、善通寺市の地域おこし協力隊に応募しました。

そうすると"善通寺市に"というより、業務内容の方が応募の決め手だったのでしょうか?
そうですね。ただ一番の決め手は、応募前に善通寺市の協力隊の方に会ってお話をお聞きし、素敵なお仕事だなと思ったことです。そういうご縁を感じたことが大きかったです。

―実際にはどのような活動をされたのでしょうか?
着任一年目から二年目の途中までは「弘法大師御生誕1250年祭」の企画運営を行いました。
その後は、善通寺市に西日本有数の黒板メーカーがあることにちなみ、市内の空き店舗4か所に黒板アートを設置する「黒板街」という市内回遊型のイベントを開催しました。
そして、昨年は「キウイ博」の企画運営を行いました。善通寺市はキウイが特産品なのですが、市内でキウイを買える場所が少なかったり、お土産物にもなっていなくて、すごくもったいないなと思っていました。そこで「キウイ博」ではいろいろなキウイを販売したり、キウイとチョコやチーズ、コーヒーやワインと組み合わせた楽しみ方を提案し、善通寺のキウイをPRしました。


(2024年キウイ博の様子)

―活動していて嬉しかった出来事や言葉はありますか?
昨年、キウイ博を開催した際、キウイ農家さんや市外から参加していただいた事業者さんから「来年もやろうよ」と言っていただいたことです。
また、私自身はキウイに関しては素人で、知識もなかったのですが、農家の方に、よくここまで協力してくださいますよねとお話したら、「その思いを持ってくれるから一緒にやりたいと思うんだよ」と仰っていただいたときはとても嬉しかったです。

―協力隊になる前の活動イメージとのギャップはありましたか?
民間会社から役所に変わったことでのギャップは少しありました。役所の仕事は公平・中立性が重要で、市民の皆さんのためになるという広い視点で物事を考えないといけないので。

―福岡さんが考える善通寺市のいいところはどんなところですか?
キウイがおいしいところです(笑)
もともとキウイが好きというわけではなかったのですが、善通寺のキウイを食べると、ほかのキウイが食べられなくなるくらいおいしいんですよ。
農家さんによって、味などの個性もあり、気分で食べ分けたりもしています
また、善通寺市は極度な田舎というわけではないので、都会から移住してもそこまで不便ではないですし、山もあって、市外にはなりますが海も近くてとても住みやすいと思います。
あと、これは善通寺市役所のいいところですが、熱意ある職員が多く、いろいろなことに挑戦させてもらえる環境があります。自分の得意なことと善通寺の魅力を組み合わせたり、善通寺のここが大好きみたいな部分をもとに、自由に企画立案をさせてもらえます。協力隊だからとかではなく、職員の方と同じように平等に機会をいただいています。

―協力隊として活動する中で成長したと感じることはありますか?
私は、0から1を生み出す仕事が苦手でした。何かを自分で企画し、それを具現化するみたいなのが苦手なタイプだと思っていました。空港やタウン誌で勤務していた頃は、すでにあるものや、方向性がある程度決まっているものの一プレイヤーとして仕事をしていましたが、地域おこし協力隊の仕事は、自分で善通寺市の魅力を見つけ出して、イベントなどを企画し、それを実行するためのチーム作りをする必要があります。チーム作りをするためには、そのイベントの世界観を自分が語れないといけません。そういったことは、初めての経験だったので、勉強しながら、ちょっとずつできるようになってきたかなと思います。

―任期後はどのような活動をされているんでしょうか?
4月からは地域プロジェクトマネージャーとして、引き続き善通寺市役所で観光振興に携わっています。

―地域おこし協力隊としての業務と地域プロジェクトマネージャーとしての業務はどのような違いがあるんでしょうか?
地域おこし協力隊では個々の企画を実行していましたが、4月以降は着地型観光の立案が主な業務となり、観光推進の方針決定や戦略的な部分などより広い範囲を担うことになります。

―任期後について、もともと計画はあったんでしょうか?
任期後のイメージは全然できていなかったです。
ほかの隊員は、お店をオープンしたり起業されたりしていますが、私は具体的なイメージがなかったので、3年かけてじっくり考えていこうと思っていました。

―善通寺市に住み続けようというのは決めていたのでしょうか?
正直に言うと、50%ぐらいでした(笑)
やっぱり仕事がないと残れないので。ただ以前から任期後について気にかけて、話をしてくださる方々が、ありがたいことに多かったです。

結果として地域プロジェクトマネージャーになることが決まり、おかげさまで残れることになりました。

―最後に、地域おこし協力隊を検討している方にアドバイスや協力隊を探す際のポイントはあるでしょうか?
気になる募集があったら一度現地に行ってみるといいと思います。募集要項だけではわからないことがあるので、可能であれば、現役の協力隊員に話を聞いたり、地元の方と話しておくと着任後にギャップがなくていいと思います。
私自身、現役の協力隊員からお話を聞いて具体的な仕事のイメージができました。地元の方と話していると自分とマッチングするなというところが出てくるとも思いますし、そういうつながりを持てそうなところに行くのが一番いいと思います。


(善通寺市地域おこし協力隊の上田隊員と施隊員と。隊員同士の仲の良さも善通寺市地域おこし協力隊の魅力の一つです)

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