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今回の、さぬきの輪の集いは、卒業間近となった男木島の石部さんの活動報告会です。
忙しい中、駆けつけてくれた協力隊担当の職員さん・協力隊、そして兵庫県の離島や山間部から視察で来られた地域おこし協力隊の皆さんが参加され、賑やかな会になりました。
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港でたまたま通りがかった島民の方に、集合写真を撮ってもらったところで。
瀬戸内国際芸術祭の会期中、多くの方が訪れた「男木島図書館」に向かいます。
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「男木島図書館」では、Webデザイナー、写真家、文筆家でもあり、NPO法人男木島図書館理事長も務められている額賀(福井)順子さんから、男木島への移住から男木島図書館ができるまでのご経験をお話いただきました。
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2014年から瀬戸内海にある人口160人の男木島に住み、社会活動として私設図書館「男木島図書館」を2016年に開館。空き家であった建物の持ち主を探すところからスタートしたこの場所が、島民や観光客、一番は島の子供達を思い、みんなが集う場所として出来上がるまでのプロセスを現在の運営方法と共にスライドを使って説明してくださいました。
空き家対策や、空き家の活用に関心のある隊員も多く、持ち主探しの苦労や、物件の修繕、図書館の充実を図る工夫など、今後の参考になるお話が詰まっていました。
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ゆっくり図書館で過ごしたいという思いを抱えたまま、いくつかの質疑応答を終え、皆さん名残惜しそうに図書館を後にします。
続いては「男木島コミュニティーセンター」へ移動です。
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コミュニティーセンターに着くと、男木島の協力隊の石部さんが現在取り組んでいる麦味噌を使った、温かい味噌汁がさっそく振舞われました。
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温かいお味噌汁をいただいた後は、石部さんの活動報告会です。
石部さんは、東京の制作会社のクリエイティブディレクターとして働き毎日忙しい生活を送られていました。
旅で訪れた男木島に魅了され、移住を決意。地域おこし協力隊として男木島での暮らしが始まりました。「食」をきっかけに交流しながら、情報発信や、地域の食材を使った特産品の開発、地域の方が大好きなカラオケイベントなど、得意な事と地域から求められるのもを重ね合わせて活動されてきました。
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活動の中で、石部さんは地域の幸せとは何か考え。
前向きに暮らす人が身近な人たちを肯定・応援し、 前向きになった人たちがまた身近な人たちを応援する。そんな「前向きさ」を循環させる一員でいたい と思いました。
そんな中、男木島で「自分のしごと」を作ることを目標に、男木ならではの食をイチから作る「オギとムギ」プロジェクトを始動。畑の開墾、調理場作り、味噌・麹作りを教わる、大麦の初収穫。
活動最終年度2019年の瀬戸内国際芸術祭期間中に、お弁当・冷汁の出店にもチャレンジしました。
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強い気持ちを持って取り組む石部さんの姿は印象的で、シンプルにやりたいことを常に前向きな気持ちで取り組み、周囲の人を巻き込みながら1つずつ形にしていきました。今後も、協力者と共に男木島で前向きに暮らす一員として頑張る石部さんを応援していきたいと思いました。
続いて、「NPO法人男木島生活研究所」の代表理事などいくつもの肩書きを有し、現在男木地区の自治会長である福井大和さんから「20年先のくらしが幸せであるために」というテーマでお話をしていただきました。
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具体的な数字を使いながら、数年先から20年先までの男木島に起こりゆく変化をシュミレーションしホワイトボードで解説。
瀬戸内国際芸術祭で、たくさんの人が訪れたり、移住者が増えているという、ポジティブなイメージをもつ男木島が、実は抱えている現実を具体的に見ることになりました。
今、男木島に行き来するために利用しているフェリーも、これからの努力次第ではなくなるかもしれない現実。
男木島に住む、様々な人に関わる数字を時系列に数値化し、こうならないようにするには、今から何をすべきなのかを真剣に考え向き合っている福井さんのお話は、決してどこの町でも人ごとではなく
現実を把握し未来に向けて行動することの大切さを、改めて感じることになるお話でした。
福井さんのお話から、一番参加者の印象に残ったのは、住民と可能な限り対話すること。
対立することもあるが、腹を割って納得を引き出すための対話を大切にしている。
面倒に思えたり手間のかかる対話こそ、自分ごとに考え地域の繋がりを強くする欠かせないものだと思いました。
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「男木島コミュニティーセンター」での発表を終え、石部さんの麦味噌作業場の視察へ。
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地域の方、協力隊色んな人が関わって作業した、作業場です。
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最後は、畑で種まき作業をみんなでお手伝いしました。
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種まきしたり、耕したり、おしゃべりしながら一緒に作業すると、想像以上にはかどります。
駆け足な一日でしたが、参加してくれた皆さんと交流ができ、大変有意義な活動報告会となりました。忙しい中、準備してくださった男木島の額賀さん、福井さん、石部さんありがとうございました。
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そして、皆さま、お疲れ様でしたー。