【香川県】第28回さぬきの輪の集い〜行政職員&協力隊の座談会with新潟県胎内市〜を実施しました!

〜「さぬきの輪の集い」とは香川県内の地域おこし協力隊の集まりです。〜

地域おこし協力隊同士の情報共有や連携体制構築のために定期的に開催しています。


年内最後の今回は、総務省等の研修でも行政×地域×協力隊のコーディネート好事例として取り上げられている新潟県胎内市から浮須さんをお招きして、行政職員と地域おこし協力隊の座談会を開催しました。

浮須さんは、新潟県胎内市商工観光課の職員として「胎内リゾートの活性化」などを担当されており、市が運営しているホテルスキー場等の活性化に取り組む傍ら、今年(2018年)、新潟県内の地域おこし協力隊とともにNPO法人ヨリシロを設立。
プロボノ※としてまちづくりの中間支援も取り組んでいます。

※プロボノとは
社会人が職業上持っている知識・スキルや経験を活かして参加する社会貢献活動。社会人が仕事を続けながら、またその仕事を通して培ったスキルやノウハウを提供するということから、参加のハードルが低く継続しやすいというメリットがある。また、支援する側もプロボノ活動を通して幅広い社会参加の機会を得られ、同時に自信のスキルアップも図れるという点から、世界中で社員にプロボノ参加を促す企業が増えている。

最初は、場を温めるアイスブレイクとして各テーブルで長めの自己紹介&フリートーク。ちょっと時間を取りすぎた気もしたので全員での自己紹介が良かったかなと反省。(全員の自己紹介に広く浅い時間をとるか、フリートークに狭く深い時間をとるかいつも悩みます。。)

その後、浮須さんが胎内市地域おこし協力隊の担当をされていた際の、協力隊の採用に至るまでの考え方や受け入れ準備、また、採用後の協力隊との関係づくりなど幅広くご紹介いただきました。

「受け入れ前の準備が大事」とはよく言われますが、具体的にどのようにしたら良いか?

胎内市の場合は、地域住民自身が今後の地域をどのようにしていきたいかというビジョンを考える機会として、「集落点検」という地域住民へのアンケートを実施したそうです。

ここまで入念に地域の方と行政が事前に意識の共有をされていたら、着任後も協力隊が安心して活動できそうだなと、とても参考になりました。

大事なのは採用することではなく、どのように地域のビジョンを実現していけるか。集落点検で描いたものを、着任後、隊員を交えて地域の要望と隊員のスキルやビジョン等を盛り込み、今後どのように活動していくかを考えます。

また、月に一度の隊員&行政職員のミーティングを通して、現在進行中のプロジェクトや今後の活動について共有。ミーティングには、担当職員だけでなく決裁権限のある上司(課長等)も参加することで全員で状況を把握できます。

そして、週に一度のミーティング、活動計画の見直し、近隣自治体との合同情報交換会も実施。話し合う頻度を多く設けることで、業務報告だけでなく、普段気になっている相談もしやすい雰囲気になったとか。

休憩を挟み、最後は座談会。

行政職員と協力隊のテーブルに分かれて、お互いに普段思っていることや気になることなどを踏まえ、「もっと〇〇だったらいいのにな」という想いを付箋に貼って意見交換をしました。

アウトプット後、それぞれのグループから一つずつ公開討論したい内容を発表し、その話題について意見を交換しました。

「仲間と思ってほしい」「コミュニケーションをもっととりましょう」
→行政職員も協力隊も、一緒に地域のことを考えていく仲間なので、行政は行政、協力隊は協力隊と扱われていると、いつまでもソトモノとして思われているようで、心の距離を感じてしまう、という意見もありました。

コミュニケーションをもっと取りたい!という意見が協力隊側からも行政職員側からも出ました。お互いに受け身で向こうが話しかけてくれるのを待つという姿勢ではなく、なにかあれば(なくても)いつでも話してほしいというのがお互いの本音です。ビジネスマナーの基本「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」+距離を縮め業務を円滑にするスモールトーク(雑談)の重要性はどこでも共通ですね。

お互いに、忙しそうだから後にしよう、という優しさも大事ですが、タイミングを見て気軽に報告できるような雰囲気作りも重要なようです。

また、協力隊の「着任」を目的とするのではなく、着任後、「一緒に」地域のことを考えていくのが重要なので、お互いにビジョンを持って活動していきましょう!という意見もありました。

最後に、すべての付箋を書き出します。

【行政→協力隊】への想い

<報告・コミュニケーションをもっと>
・活動についてもっと話してほしい
・どんなことでも言ってもらいたい
・こまめに連絡をしてほしい
・良いコすぎると悪いこともあるよ
・住民から言われたこと(宿題)を教えてほしい(良いことも悪いことも)
・一週間の活動で特記事項、気付き(何が良かった・悪かった)を挙げてほしい
・報告がもう少しほしい
・定時報告、MT(ミーティング)などは重要なので原則参加してほしい
・報告は早め早めでしてほしい
・もっと本音を言ってほしい(業務外でも)
・行政の意見について不明点、違うと思う点などがあれば、押し殺さずに主張してほしい
・メール・TELの返事がほしい
・町の予算で買ってほしいものが知りたい
・もう少しコミュニケーションをとってほしい
・隊員から見て行政の変なところは言ってほしい
・新しい店や食事に行ったスポットの感想知りたいな

<もっと積極的に>
・受け身すぎるので自己主張してもいい
・自分から行動してほしい

<行政ルールについて理解して>
・スピードが手続き上限度があるのは理解してほしい
・行政には行政の守るべきルールがあることに理解を示してほしい
・行政の仕組みで変えられるところと変えられないところを知ってほしい

<予算について相談して>
・お金関係はこまめに相談してほしい
・予算の使い方について、事前に相談してほしい

<進路について>
・卒業後、何をしたいか知りたい(その時点で)
・将来設計を持ってほしい

【行政職員→協力隊への想い】

こちらは【協力隊→行政】への想い

<コミュニケーションをとりましょう>
・メールの冒頭を「お世話になっております」じゃなくて、「おつかれさまです」にしてほしい(距離を感じる・仲間と思ってほしい)
・会議に決定権を持つ職員が出てほしい(説明時間の短縮)
・協力隊へ要望がある地域の人、組織、内容を職員の人にも把握しておいてほしい
・LINEやFacebookでやりとりしたい(→している自治体も多数ありました)
・立場が違う分、気を遣って意見が出にくい
・(担当職員が)忙しそうで大変そう
・担当職員さんは仕事を少なくしたほうが良い
・担当者が情報公開してほしい(一人で抱え込んでいる)

<何のために協力隊を募集するのかを明確に>
・活動に対する具体的ビジョンを持って募集してほしい
・協力隊に何を求めているのか、たまには言ってほしい
・行政が何を求めているのかわからない
・「ダメ」ではなく、実現できる方法を考えてほしい
・行政という思い込みが強いのでは?
・あきらめないで
・もっと熱意をもってやってほしい
・一方的なコミュニケーションになりがち。もっと興味を持ってほしい

<地域のことをもっと知って>
・地域住民とのつながりを上手くしていきたい
・もっと地域と関わりたい(業務の場所が決められているが)
・任地にもっと来て課題を見てほしい
・現状を理解してほしい
・もっと積極的に地域の中に入ってほしい

<活動について>
・通信費など、必要経費が着任後すぐに使えるようにしたい
・自由に動ける環境がほしい
・警報が出ると公用車が使えず地域に出れない
・ある程度、契約通りの勤務時間を守ってほしい
・旅費を領収書払いで柔軟に出せるようにしてほしい
・活動場所の柔軟性(役場だけでなく、サテライトオフィスのような場所があると地域とより関わりが持てる)
・事前に情報がもう少しほしかった(予算の内訳やキーパーソンの情報、町の課題)

<予算について教えて>
・活動費用の透明化
・予算に関してはもう少し一緒に考えたい
・予算が不鮮明(分かりやすいと良い)

<進路について>
・任期後の進路について、協力隊に丸投げしないで一緒に考えてほしい
・進路のフォローがあると嬉しい

【協力隊→行政職員への想い】

時間の関係で各グループから一つの話題しか意見交換ができませんでしたが、今回出た意見等をきっかけに、各自治体での朝のミーティングなどで話し合っていただける機会になったら良いなと思います。

今回は内容的に、行政職員座談会、職員研修、職員&協力隊座談会が同時開催となりかなり盛り沢山でしたが、快くお引き受けいただいたNPOヨリシロ(新潟県胎内市)の浮須さん、ご参加いただいたみなさま、ご協力ありがとうございました。

【後日談】
県庁では行政職員&協力隊の朝のミーティングを早速実施して、現在進行中の企画や今後の活動についてだけでなく、クリスマスはどうだったかなど雑談も交えて話すことが出来て少し距離が近く感じられました。

今後も定期的に実施し、一緒に地域のことを考えられる「仲間」として活動ができたらいいなと思います。


第28回さぬきの輪の集い〜行政職員&地域おこし協力隊座談会with新潟県胎内市〜

【日時】
2018年12月19日(水)13:30〜16:30

【場所】
高松市内フリースペース/206(TSUMAMU)

【参加者】
地域おこし協力隊 18名
自治体職員 9名

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