今回の、さぬきの輪の集いは、卒業間近となった直島町の本橋隊員の活動報告会です。
協力隊担当の職員さん、協力隊OB・OGの山岸さんご夫婦、現役の協力隊のご協力の下、令和3年1月26日に実施し、アットホームで学びの多い会となりました。
新型コロナウイルスの影響で、人数制限を設けた少人数で行い、久しぶりのさぬきの輪の集いとなりました。
スムーズに集合できたため、初めの目的地に向かう前に急遽直島ホール(直島町民会館)を見学しました。協力隊担当職員さんからはホールができる前の様子について、下道隊員からは自然エネルギーを活用した建造物についてご説明いただきました。
雰囲気のある瓦屋根の入り組んだ街並みを通って協力隊OB山岸さんの運営する「シェアハウスやじるし」へ向かいます。
「シェアハウスやじるし」では協力隊OB山岸さんへの質疑応答を行いました。現役の協力隊の様々な問いに答えていただきました。ほんの一部ですが内容をご紹介します。
Q:行政職員さんへの提案の仕方
A:「自分のやりたいこと」ではなく、「地域の課題を解決できること」でなければ職員さんには伝わらない。
Q:パラレルワークについて
A:自身の経験からパラレルワークによるリスクヘッジを行っている。直島不動産のシェアハウスだけでなく、島小屋のオーナー、アイラブ湯の番台、直島いちじくプロジェクトなど複数の仕事を持っている。
Q:休日の過ごし方
A:旅行や銭湯が好きなため、デザインの視察中仕事のことを考えているが、その合間に好きなこともできているためオンとオフの境目があまりない。卒業後にやりたいことがある人は、任期中から見るもの、出会う人がすべて任期後に繋がっていると考えてみては。
Q:空家の商店街や街の活性化について
A:空家の持ち主さんもリスクを持ちたくない場合が多いため、それでも賑わいを取り戻したいと思うのであれば、自分がリスクを負って自ら始めることがよいのでは。人の集まる場所からの導線を意識することが重要。
山岸さんの代から協力隊を支えている担当職員の堀口さん。協力隊OB・OGや地域の方との繋がりを大切にしている素敵な職員さんです。場の空気をなごませつつ、行政職員さんとして的確なアドバイスをしてくださいました。
シェアハウスをご案内いただきました。
「シェアハウスやじるし」は、「空き家片付け大作戦」で直島と小豆島の協力隊が片づけ・清掃に関わっています。片づけ前から山岸さんのリノベーションによって生まれ変わったシェアハウスを見学し、驚きの声があがりました。
いよいよ、本橋隊員の活動報告会です。
移住・定住促進活動、地域との関わり、卒業後に運営するアート島センターについてなど地域おこし協力隊としてやってきたことをお話いただきました。応募時に熱い想いを込めた手紙を書いたことなど本橋隊員の熱意が感じられるエピソードも伺うことが出来ました。
以下は発表内容をまとめたものです。
<移住・定住促進活動>
・直島町公式SNSの運営
(町民の健康増進やスポーツ振興などを目的にスポーツブランドのミズノ(株)と連携協定を結びスタートしたもの。)
・「NAOSHIMA COLORS」の運営
(空き家や土地の情報、求人情報、移住体験住宅の紹介、直島の生活日記など。)
・空き家片付け大作戦
(協力隊や地域の人達と空き家の片づけを行うもの。)
・空き家情報のパンフレットや移住者交流会のちらしなどのイラスト・デザイン制作
(illustratorやPhotoshopは協力隊になってから使えるようになった。)
・キッズアートワークショップ「ペイント・ザ・シー」の企画・開催
(大きい画用紙に手や足を使って海の生き物の絵を描こうというもの。魅力的な子育て環境をつくり、家族での移住者を増やすことが目標。今後も子供向けのワークショップをしていく予定。)
・なおしま88ヶ所巡り
(平成元年に復元された88ヶ所めぐりを再復活させるべく、島内のお地蔵さんを調査。88体中87体を発見。)
<地域との関わり>
・Naoshima EGG(直島イングリッシュガイドグループ)
(地域おこし協力隊の活動外ですが、アシスタント講師として年4回ほど、小学4年生~中学生までを対象として海外観光客の道案内やゲームなどを通して英語教育を行った。)
・地域の方から郷土料理や裁縫を教わり交流
(さぬきの輪TIMESにも登場した三田さんは特に本橋隊員がお世話になった方。元婦人会会長で知恵や豆知識を沢山知ることが出来るとのこと。)
<任期後に向けて>
直島に来た当初からあったらいいなと思っていた観光客と地域住民が交流できる場所をつくるべく、「アート島センター」を開業。
アート島センターとは、アートギャラリー兼本屋さんで、コミュニティスペースも併設されています。
アートギャラリーは地域と人をつなげる場所として、コミュニティスペースは世界中から集まる多種多様な人々とのコミュニケーションの場所として、それぞれテーマを持っています。
そのコミュニティスペースでは、アートが好きな人を集め結成し、Naoshima Art Clubと名付け、月に2回ほど集まってドローイング、クロッキー、デッサンなどをしたり、絵画レッスンをしている地域の方に貸し出しをしたりしてるそう。
今年の5月からは小学生を対象とした学校外活動の講師をやるとのこと。
今後の事業展開については、アーティスト・イン・レジデンス事業を展開する予定で、多様な人々の活動の推進や地方とのつながりの構築など地方創生の取り組みにもなるので、将来実現させたいそうです。
発表後の質疑応答では、活動計画の立て方や、協力隊の起業補助金についての質問などがありました。協力隊の起業補助金を使いたい人は余裕をもって1年前から担当職員さんに伝えておいた方がいいとのことです。
協力隊OG山岸紗恵さんが立ち上げた「なおしまキッズポート」を訪問しました。
なおしまキッズポートは直島町子育て支援拠点事業を受託しています。
山岸紗恵さんから「なおしまキッズポート」の立ち上げについて伺いました。
なおしまキッズポートは、0歳から小学校低学年くらいの親子の遊びと交流の場で、毎月テーマを持って工作や学びのイベントを企画しています。今回は子供たちが作った雪がテーマの遊べる作品が設置されていました。
本や工作グッズやおもちゃが沢山あり、環境、デザイン、そして社会問題などに配慮して選定されています。親子の学びの場にもなるようにと考えられています。
現在はコロナウィルスの影響で町内の子供が主な対象ですが、本来は観光客にも利用してもらうことで、島の親子が海外の親子とも交流ができる場所にしていくそうです。
直島の子育てをより良いものにすることで、子育て世代が住みたいと思う町にしたいという想いから、地域のメンバー4名で「なおしまキッズポート」を立ち上げたそうです。
紗恵さん個人のやりたいことではなく、地域をよりよくするもの、補うものをつくるという考えからスタートしたプロジェクトということもあり、施設は地域の子育て世代で賑わっていました。
今後は、直島から飛び出した子供に関する活動や、海外の子供たちとの交流、世代を超えてプロジェクトを引き継いでいくことを課題としているそうです。
最後は下道隊員の活動場所でもある直島観光案内所にて下道隊員の活動について伺いました。
観光業か苦境に立たされる中、観光協会の職員さん、島内事業者の皆さんと今だからできること、を一緒に考え、動いています。観光の際気をつけてほしいことや、福袋、観光アプリの導入などサポートしているそうです。
お話を聞いた後、お土産や福袋を購入する隊員もいました。福袋の中身は、満足できる内容だったようです。
今回は現役から歴代OB・OG、担当職員さんのお話しまで情報を沢山いただきました。活動のヒントになるお話も沢山あったのではないかと思います。
隊員のみんなはフェリーに乗ってそれぞれの活動地へと戻っていきました。
直島の皆さん、お世話になりました~!!!